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「輸血拒否」患者が意識不明の場合どうなる

報道によると、主教団体「エホバの証人」の信者であった女性は2011年急性硬膜下血腫のため、青森県の病院に緊急入院をしました。

医師は手術と輸血が必要だと判断。患者自身の意識がほとんどなかったので、息子に同意を求めたところ、女性本人の信仰を理由に輸血は拒否され、手術は「輸血不要」という合意のもとで行われましたが、完遂せず、女性は亡くなりました。
日本でインフォームド・コンセントが注目されるきっかけになった事件に「エホバの証人輸血拒否事件」があります。1992年に東大付属病院で、医師が患者の同意を得ないまま輸血を行い、病院側が訴えられ民事訴訟で最高裁まで争われました。

最高裁の判決は、患者自身が手術を受けるかどうか決める『自己決定権』が侵害されたとして、病院を運営する国や医師側に55万円の損害賠償の支払いを命じました。
ただ今回は先の判例のケースとは違い、患者本人には意識がなく、拒否したのは息子だったとされています。

このような生死をわける状況で、家族の判断だけでも輸血拒否は可能なのでしょうか。


仮に、本人が輸血しないことの危険性を十分に認識したうえで、『心から輸血を拒否する』という意思表明を行っており、さらに、その意思が何らかの方法で確認できて、意思表明のときからそれほど長い時間が経っていないとしましょう。
そのような場合に家族から『本人が輸血を拒否している』という説明があれば、医師はその説明を尊重せざるをえないでしょう。本人が意識不明に陥っていて、手術前にその真偽を確認できなかったとしても、医師が勝手に輸血を行えば、損害賠償の対象になる可能性が高いと考えます。
ただし、本人の事前の意思が確認できなかったり、意思表明から相当時間が経った場合は別です。
このような場合は、本人の輸血拒否の意思が確認できない状況であると判断されると思います。

したがって、たとえ医師が輸血を行ったとしても損害賠償の対象にならないと考えられます。そのような場合に、親族が本人の『信仰』に基づく判断を推測して、輸血を拒否することには問題があるでしょう。

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