2017.8.22 刑事事件
弁護活動の結果、正式裁判を回避できた事案
事例まとめ
案件概要
痴漢事件で、加害者であるAさんは被害者であるBさんに謝罪したいが、謝罪する術がなく、相談にいらっしゃいました。弁護士が代理人となることで、Aさんの謝罪の気持ちを記した手紙をBさんに渡すことができました。そして粘り強い弁護活動の結果、正式裁判を回避することができました。
関係者
Aさん:加害者、Bさんに痴漢
Bさん:被害者
相談時
Aさんは、Bさんに痴漢をおこなったため、捜査を受けていました。Aさんは、深く反省し、Bさんに謝罪をしたいと考えていましたが、警察や検察からはBさんの連絡先を教えてもらえず、Bさんに謝罪をする方法がありませんでした。そこで、Aさんはどうしたらよいかと悩まれて相談にこられました。
解決のポイント
解決のポイント①~性犯罪特有の問題~
特に性犯罪の被害に遭われた方は、加害者と会うことをおそれ、面会を拒まれることが多いです。しかし、弁護士であれば、捜査機関から被害者の連絡先を聞き、被害者に対して謝罪文を送ったり、直接謝罪をしたりすることが可能な場合があります。
今回のケースでも、弁護士は、Aさんの弁護人として捜査機関に連絡をとり、Aさんを含めて第三者に明らかにしないという条件でBさんの連絡先を教えてもらいました。そして、弁護士は、Aさんが書いた謝罪文をBさんにお渡ししました。
解決のポイント②~正式裁判か略式裁判か~
一般的に起訴されると、正式裁判といって誰でも傍聴できる法廷での裁判を受けなくてはなりません。誰でも傍聴できる法廷での正式裁判を避けたいと思われるのは当然のことで、Aさんも同様でした。
正式裁判で裁判を行うか略式裁判で裁判を行うかは、検察官が決めることです。
検察官は、被害の程度だけでなく、被疑者が真摯に反省しているか・二度と犯罪をするおそれがないかを考えて決定します。
そのため、検察官にAさんが真摯に反省していることを分ってもらい、検察官が略式裁判を求めるように働きかけることが重要です。
当事務所の活動
今回のケースで、弁護士は、Aさんに毎週1通以上の反省文等を書くことを提案し、Aさんが書いた反省文等をもとにAさんと面談を行い、Aさんが反省を深められるように活動をしました。
その後、弁護士は、Aさんが毎週書いた反省文等を担当検察官に送付し、Aさんが真摯に反省していることを担当検察官に伝え、略式裁判とするよう積極的に主張をしました。
その結果、Aさんは略式裁判を受け事件は終了しました。
担当弁護士のコメント
ご自身が真摯に反省していても、それを検察官に分かってもらうのは簡単なことではありません。捜査機関から捜査を受ければ、真摯に反省しているかいないかを問わず、ほとんどの方は、「反省」の言葉を述べるからです。
今回のケースで弁護士は、まず、Aさんに毎週1通以上の反省文を書いてもらいました。Aさんの奥様にも協力してもらい、Aさんの奥様が痴漢被害に遭われたらAさんの奥様がどのよう思うかを話してもらいました。また、Aさんには、Aさんのお子さんが痴漢被害に遭われたと仮定して、加害者宛の手紙も書いてもらいました。そのような活動を続けていくなかで、AさんのBさんに対する反省文の内容も変わって来ました。弁護士は、これらの内容を報告書としてまとめ、Aさんの反省文と併せて検察官に提出しました。その結果、Aさんの反省の深さが検察官に伝わり、Aさんは略式裁判で起訴されました。
私自身、Aさんの反省文の内容が変わっていくのを見て、Aさんが本当に反省していると感じることができました。BさんにもAさんの謝罪の気持ちが伝わったのだと思います。Aさんが正式裁判を回避できたときには、弁護士として大変安心しました。