2017.8.22 その他
インターネット上の掲示板に誹謗中傷を書き込んだ人物を特定できた事案
事例まとめ
案件概要
Aさんは、インターネット上の掲示板に、誹謗中傷を書き込まれてしまいました。Aさんの子どもは、その書き込みが原因でいじめられており、困ったAさんは、なんとか書き込みをやめさせたいと相談に見えました。弁護士は、掲示板管理者とプロバイダに発信者情報の開示を求めたところ、投稿を行った人物を突き止めることができました。その後、弁護士は、投稿をした人物と示談交渉をし、Aさんについての書き込みをやめさせることができました。
関係者
Aさん:依頼者、ネット掲示板に悪質な書き込みされる
Aさんの家族:悪質な書き込みにより影響を受ける
相談時
Aさんは、インターネット上の掲示板に、数カ月にわたり一日あたり数十回も誹謗中傷を書き込まれてしまいました。Aさんの子どもは、その書き込みが原因でいじめられており、困ったAさんは、なんとか書き込みをやめさせたいと相談に見えました。
解決のポイント
解決のポイント①~発信者情報の開示請求~
書き込んだ相手を特定するためには、2段階の手続を経る必要があります。
1. 掲示板の管理者に対して、書き込みを行った者のIPアドレスの開示請求をします。任意での開示があれば迅速ですが、管理者が任意での開示に応じない場合、裁判手続きを経る必要があります。
2. IPアドレスの開示がなされた場合、プロバイダに対して当該IPアドレスが割り振られた個人を特定する情報の開示請求を行います。
当事務所の経験上は、多くのプロバイダが、訴訟手続を経なければ、個人情報の開示には応じないことが多いです。そのため、掲示板に書き込んだ相手を特定するためには、訴訟を提起する必要があります。また、プロバイダは、IPアドレスを誰に割り振ったかの記録を数カ月程度で消去してしまうため、迅速に手続きを進めなければ、書き込みを行った相手方を特定することが出来なくなってしまいます。
解決のポイント②~掲示板への書き込みをやめさせるためには~
書き込みをした相手方を特定しただけでは、掲示板での書き込みをやめさせることはできません。
相手方に書き込みをやめさせるためには、相手方に書き込みをしないよう通知を送り、相手方に二度と投稿をしないことを約束させ、相手方がした約束の内容を書面にし、約束に違反した場合の制裁を決めておく必要があります。
当事務所の活動
今回のケースで、Aさんが書き込みがされてからさほど時間がたっていないときにご相談に来ていただけたため、弁護士は、Aさんから委任を受けた後、速やかに掲示板管理者にIPアドレスの開示を求めました。そして、掲示板管理者から開示されたIPアドレスをもとにプロバイダに対して、書き込みを行った相手方の個人情報の開示を求める訴訟を提起した結果、書き込みをした相手方を特定することができました。
又、相手方を特定した後、弁護士は、速やかに相手方に書き込みをやめるよう通知を送りました。
相手方は、掲示板にAさんについての書き込みをしたことを認め、二度とAさんについての書き込みをしないことを書面で約束させ、約束に違反した場合には、一定の金銭を支払う内容の示談書を作成しました。
示談後、当該掲示板にはAさんに関する書き込みはされなくなりました。
担当弁護士のコメント
インターネット上に書き込みをされると、その書き込みの内容が瞬く間に広まってしまい大きな被害をもたらします。今回のケースでは、誹謗中傷の書き込みにより、Aさんの家族にイジメ等の被害が出ており、当初Aさんは本当に困っていらっしゃいました。しかし、最終的に書き込みがされなくなったことで、Aさんは安堵されておりました。依頼人様のお力になれたことは弁護士として嬉しい限りです。
法律問題全般にいえることですが、適切な時期に適切な対応をしておけば、被害の発生を予防したり、相応の被害回復ができるものです。ですので、なにか困られたことがあったら早めに相談にお越しいただければと思います。もし相談にお越しいただくタイミングが早かった場合には、次回どのようなタイミングで再度相談にお越しいただくかをお伝え致します。
※プライバシー保護の観点から事案の本質(争点、判決やどのような解決したか)に反しない範囲で事実関係を一部変更している場合があります。