2018.6.11 弁護士ブログ
かの有名な宇奈月温泉事件について正木弁護士が語ります
競輪オタ兼城オタの私にとって,富山県という場所は富山競輪があって高岡城がある場所なのですが,多くの法律家にとって富山県は別の場所で有名です。
その名は,宇奈月温泉!
道後温泉をかかえる我らが愛媛県からすると,富山県の温泉などどうでもいいのですが,法律家は「宇奈月温泉事件」という単語を深く認知しております。この温泉の認知度が高い理由はなんとなく「うなづきおんせん」という名前のゴロがいいこともありますが,なんと言ってもみんなが勉強する(おそらくどの法学部でも必修なのではないでしょうか)民法という科目の,かなり序盤に登場する(=まだまだ学生がやる気がある&民法という難関科目に打ちのめされていない)ことにあります。「民法判例百選」という,ほぼ全ての法学部で判例教材集として紹介さ
れているであろう判例集でも,栄えある第1番の事件がこれです(これが1番なのは,民法判例の中で最も重要だから,なのでは無く,民法第1条に関する事件だからです)。
なお,法律家に有名なのは「宇奈月温泉事件」という名前だけですので,実際に宇奈月温泉がどこにあるかを知っている法律家は実は多くありません。事件名だけが一人歩きするんですね。こういったことはよく起こる話で,これまた法律家に知らない者のいない「米子銀行事件」という事件も事件名が一人歩きしているため,「米子銀行」という銀行が存在すると信じている法律家はかなり多いです(私も数年前までそうでした。ちなみに,実際に存在した米子銀行は,第2次大戦中に山陰合同銀行に名を変えています)。
というわけで,各地の観光協会の皆様におかれましては,温泉競馬・温泉競輪の宣伝のみならず,法律家向けにの観光アピールには一工夫加えていただくよう,お願いしたいところです。